ジュネーブからは以上です。

スイス・ジュネーブ駐在中。こちらでの暮らしや日々感じたことなどを綴ります。かつては「ロサンゼルスからは以上です。」でした。

(ネタバレあり)『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』はHappy-go-luckyな映画なのか?

こんにちは、ヨシノです!

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(英題:Mamma Mia! Here We Go Again)』を観に行きました。

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www.mammamiamovie.jp

 

これは2008年公開のミュージカル映画マンマ・ミーア!』の続編なんですが、この映画私大好きで、映画のディスクは手元に置かない派の私もこれだけはDVD買って、何回も観てました。

とにかくハッピーな映画で、落ち込んだときにいつ観ても元気をもらえる、何度も何度も観た映画。10年の時を経てついに続編。観ないわけがありません。

そしてついに観ちゃいました。色々と書きたいことはありますがここは、ネタバレなしゾーン・ありゾーンに分けて感想を書きたいと思います。

便宜的に1作目の『マンマ・ミーア!』 は「1」、今回の続編の方は「2」として書いていきます。

※注意!:日本では8月24日公開です。ネタバレゾーンには最大にして最重要のネタバレも含みますのでご注意ください。個人的にはネタバレ部分は、ぜひ、マンマ・ミーアもこの続編も両方観たあとに読んで、感想を教えていただきたいです。

 

マンマ・ミーア!』ってそもそもどんな話?

エーゲ海に浮かぶギリシャの小島で、シングルマザーの母ドナ(メリル・ストリープ)に育てられたソフィ(アマンダ・セイフライド)。彼女のひそかな願いは、まだ見ぬ父親とバージンロードを歩くこと。結婚式を控え、父親探しをすることに決めたソフィは、内緒でドナの日記を読み、父親の可能性のある昔の恋人3人に招待状を出す。

解説・あらすじ - マンマ・ミーア! - 作品 - Yahoo!映画

スウェーデンポップ・グループABBAの名曲をふんだんに使った大ヒットミュージカルを映画化したもの。ABBAのポップな曲をメリル・ストリープがダイナミックに、アマンダ・セイフライドがキュートに歌い上げます。ABBAを知らない若者も知ってる大人も、一度「1」のサントラを聞いてみよう!

マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

  • キャスト・オブ・マンマ・ミーア・ザ・ムーヴィー
  • サウンドトラック
  • ¥1200

父親候補3人もいるんかい!っと突っ込みたくなるドナの奔放さや、長年のドナの友人たちとのまるでまだ学生かのような掛け合い、ソフィと婚約者とのラブラブな感じなど、ハラハラしつつも終始ハッピーな気分で観ていられる、Happy-go-lucky(ハッピーな、能天気な)な映画です。

 

そして、「2」は、この『マンマ・ミーア』「1」自体を観ていないと面白さが半減、どころか20%くらいになり得ますので、観てない方はぜひこれを機に観ていただきたい。さあ、観よう。観るんだ。

 

でもそんな時間ないんだよね・・・だけど映画館で「2」観てみたいなあという方のためにネタバレなしのおすすめポイントはこちら。

「1」を観てない方向けレビュー

まず「1」を見てない方、この映画の映像とキャストの美しさに期待していただきたい。とにかく、

ギリシャの綺麗な風景と海と、

www.youtube.com

この動画を観てもらえばわかる

 

リリー・ジェームズの力強くも可憐な歌声と、

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左がリリー・ジェームズ。『シンデレラ』や『ベイビー・ドライバー』でも歌ってましたね(余談だけどベイビー・ドライバーも控えめに言って最の高なので特に音楽好きは是非観て欲しい。昨2017年の一押しです)。右は前作以上にお姉さんになったアマンダ・セイフライド

 

・イケメン三銃士が見れる!(父親候補3人の若き頃)

全員眼福。動く姿はさらに良き。

 

・そしておそらく「1」を見たくなるでしょう。なっちゃうでしょう。ということで「1」は先に見ましょう!

 

「1」を観たけどネタバレ欲しくない方向けレビュー

「1」は観たけどネタバレ欲しくない方には予告編でちらっと観れるレベルのおすすめポイントを。「1」を観た人なら、あ!と思うようなオマージュシーンや、「1」でも歌われた曲がたくさんでてきます(もちろん、「1」で歌われてない曲もたくさん出てきます)。

 

・「ダンシング・クイーン(Dancing Queen))」を歌いながら海岸まで踊って降りて行くシーン

Mamma Mia Film StillThe characters featured in Ol Parkerâs Mamma Mia! Here We Go Again include (from left): Rosie (Julie Walters), Sam (Pierce Brosnan), Sophie (Amanda Seyfried) and Tanya (Christine Baranski).

上が1、下が2。1では町中の女性を引き連れて歌い踊る力強いシーンでした。

 

・「恋のウォータールー(Waterloo)」を歌い踊るシーン

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上が1、下が2。1は本編終了後のおまけ映像として歌われており、残念ながら1のサントラには入らず。2の同じ曲を若き日のハリー&ドナがパリのレストランで歌い踊るシーン。ミュージカルっぽくて個人的お気に入り。

 

その他、あーこのシーンあったなー、とか、あーこれこういうことだったの!とか、色々感じるシーンがたくさんありますが、ネタバレ回避のためあえて多くは載せません。それでも気になる!という方は公式予告映像でちょっと世界を堪能してみてください!

youtu.be

 

【ネタバレゾーン】ネタバレどんとこい!レビュー

と、色々おすすめシーンは載せましたが、感想についてはネタバレを載せざるを得ません。もう「2」が待ち切れないのでネタバレ含めてどんなのか知りたい!という方、ここからネタバレ含め感想を書きます(個人的には映画観たあとに読んでくれることをお勧めしたい)。では、どうぞ!

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【感想(ネタバレ)】

さて、「1」を観てさらに予告編を観た方はうすうす感じていたかもしれませんが、この「2」の最大のネタバレポイントは、

 

「ドナが亡くなっている」

 

という点です。

 

しかもその事実が、映画開始5分後くらいに、さらっと明らかにされます。「2」(「1」から10年後の設定)の1年前に亡くなっているようですが、その原因は(映画上ではおそらく)不明。とりあえず『マンマ・ミーア!』前作のファン(私)は、え?え??となり状況に追いつけていません。

そんな中、ドナの遺したホテルをリニューアルオープンさせようとするソフィたちの奮闘(現在)と、ドナと父親候補3人の若き日の思い出(過去)とが交互に流れながら物語は進みます。

 

いいのです。

ホテルのリオープンという目標に向け、婚約者スカイとの遠距離恋愛に悩みながらも頑張るソフィ、それを助けるサム(前作でドナと結婚した、父親候補のうちの一人)、そしてソフィの応援に来るドナの昔からの友人のターニャとロージー。ついでに最高の迫力で間違いない歌声を聴かせる(シェール演じる)ソフィの祖母ルビー。

 

名門オックスフォード大学を卒業し旅に出た美しく奔放なドナと、旅先のパリで出会うハリー、物語の舞台カロカイリ島へ向かうヨットに乗せてくれたビル、そしてカロカイリ島で運命の出会いを果たすサム。

 

現在・過去のどのシーンも、どのキャストの歌声も素晴らしく、そして映像が美しい。各シーンを思い出すと、とても幸せな気分になれます。ミュージカル映画として求めていたものを魅せてくれたなあと感じました。

 

しかし。しかし、です。

各歌唱シーンの間で現実に戻る瞬間、

「ドナはもういない」

ということを感じさせられ、キャスト自身もそれを悲しんでいることもひしひしと感じられ、根底にある悲しさと「なぜドナが」という思いが頭を離れないのです。

 

他方、英語のレビューとか読んでると「めっちゃ感動!ハッピー!」みたいなポジティブ感想もあって、なんでこんなに私は悲しいのかなあ、と思ってたのですが、思い当たる理由のひとつは、私がソフィーと同じくらいの年で、同じく前作から10年を経て、現実に直面しているということです。

 

ちょうど前作が公開された2008年当時ソフィは20歳(設定)、そして10年間を経て本作では30歳。

私も年がほぼ同じなので、20歳前後だった前作からの10年間で、親に守られた大学生から、ソフィと同様、自分で人生をひらかなくてはならない大人になりました。

だから今、ホテルのリニューアルオープン直前に嵐がきてオープンパーティーの飾り付けが全部吹き飛ばされたり、NYでホテルサービスを学ぶため遠距離恋愛中の婚約者スカイとの間に不穏な空気が流れたり、っていうか彼との子どもを妊娠してて出産不安だし、仕事も恋もうまくいかない、もうやだ!いろいろやだ!全部やめたい!!

となるソフィに(程度に差はあれど)自分を重ねてしまい、それが母の死後というのは私の経験を超えているものの、もう何かつらすぎワロタ!!(ワロエナイ!!)という心情は想像に難くありません。

 

ただ、それが現実。

「環境が変わっても、辛いことがあっても、大切な人が去っていっても、年月は確実に過ぎる。だから、自分は前に進んでいかないといけない。」

という現実を、この「10年間」というリアルな年月をキャストと一緒に経たような感覚を通じ、強く印象づけられた気がしました。というか、こうやって書いていてようやく、ドナの死を含めてこの「現実」がこの映画の伝えたかったことなのかなあと思えるようになりました。

(まあ、実際には、この脚本になった&10年の間が空いたことにはいろんなオトナの事情があるんだろうなあとは想像しますが、ピュアなハートを持っているのでそれは考えないことにします)

 

また、映画の最後で、ソフィが無事に出産し、前作で結婚式を挙げ(ようとし)た教会で子どもの洗礼式を行うのですが、ここでソフィだけに見えるドナが現れ、二人で「My love, My life」を(この映画用に変更された歌詞で)デュエットした後にドナが消えていく・・・というシーンがあります。このシーンがもう、女手ひとつで育てた娘ソフィをドナは本当に愛していたんだなあということがとても伝わる、感涙必須のシーンなんです。そしてここは、ドナ&ソフィの親子の物語から、ソフィ&その子どもの物語へと引き継がれ、ドナがいなくても彼らの現実は進んでいくということを印象づけるシーンでもあります。

 

というわけで。

この映画の感想は、歌も映像も素晴らしいし感動もするけど、ドナがいない悲しさとそれを乗り越える奮闘とをこの映画全体が包含してるので、

 「すべての人を笑顔にする、最高にハッピーなミュージカル!」

という映画の(日本版HPの)宣伝文句はちょっとミスリーディングだぞ!前作のようにHappy-go-luckyな映画ではないと思うぞ!という点でしょうか。同じように書くなら、

「すべての人の心を震わせる、最高にハートウォーミングなミュージカル!」

であれば、前作の超ファン(私)も納得かなあ、という感じです。

 

とかなんとか書きましたが、ドナ・ロスを抜け出せば、感想ももう少し変わるのかもしれません。だけど、やっぱりドナいないの悲しかったなあと思う、前作ファンによる長い感想でした。

 

ともあれ、どっちも素敵な作品ですので、ぜひ『マンマ・ミーア!』の1・2(両方!!)観てみてくださいね!!